区長就任にあたっての所信(要旨)

 本日、第四回定例区議会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、
ごあいさつ申し上げます。
 私は、去る11月12日の区長選挙におきまして、多くの区民の皆
様からのご指示をいただき、引き続き新宿区長として職責を担うこと
になりました。
 ここに、議会並びに区民の皆様にこれからの区政運営についての所
信の一端を申し上げます。

 この度の選挙を通して、私は、区政に寄せる区民の皆様からの期待
の大きさを強く感じるとともに、その責任の重大さに改めて身の引き
締まる思いをしております。そして、常に区民の視点、生活者の視点
から区政の課題を捉え、区民とともに区政運営にあたっていかなけれ
ばならないと決意を新たにしています。
 
 私は、この度の選挙において、『暮らしやすさも賑わいも一番の自
治のまち新宿』の実現を目指すため、私の考える「2つの都市像」と
「区政運営における3つの基本姿勢」を区民の皆様にお示しするとと
もに、新宿のまちを創るための「5つの視点」と「12の基本政策」
及びそれを実現するための「50の施策」をお示ししました。
 これは、私の区民の皆様との約束であり、区民の皆様から信託を受
けた公約です。わたしは、今後4年間、全力を挙げてその実現に努め
てまいります。

 もとより、区政の課題は、私がお示ししたマニフェストだけにとど
まるものではありません。そのため、今後、区の政策を方向づけるに
あたっては、区民や議会、各種団体の皆様のご意見をいただきながら、
さらに充実したものとし、可能なものについては、来年度予算案へ積
極的に反映させていきたいと考えています。

 さて、今、わが国は、かつて経験したことのない「人口減少社会」
を迎えています。人口減少や急速な高齢化は、経済や社会に様々な構
造変化をもたらします。また、いわゆる団塊の世代の大量退職も、社
会の仕組みを変える大きな要素となります。
 これまでの経済成長中心の考え方をそのまま持ち続けるならば、こ
れからの少子高齢社会は深刻な危機を迎えることになります。人口増
加と経済成長を前提とした考え方を見直し、少子高齢社会に対応した
社会全体のあり方を再構築することで、真の豊かさを追求していかな
ければなりません。

 私は、これからのまちづくりは、一人ひとりの人間がお互いに人と
して尊重され、人の息吹やぬくもりが感じられる都市を目指していく
ことであると考えます。
 こうした視点から、私は、これから新宿区が目指すべき都市像とし
て、「2つの都市像」を示しました。

 一つは、「暮らしやすさと緑・賑わい・文化性をあわせ持つ多彩な
表情を見せる懐の深い『歩きたくなるまち新宿』」です。
 新宿区は江戸以来の歴史と伝統を持つ地域に30万人の人々が住み、
そして多くの人々が働き、学び、買い物や文化・娯楽を楽しむ活力に
溢れた町です。また、武蔵野大地の東端にあるという自然地形に根ざ
した水辺や斜面緑地など貴重な自然も残っています。
 私は、この多様性と懐の深さを新宿のまちの積極的な特徴として、
質的向上を図るとともに、新宿の土地や歴史文化などの「まちの記憶」
を多くの区民の皆様と共有し、暮らしやすさも賑わいも一番の『歩き
たくなるまち新宿』を創り上げていきたいと考えています。

 もう一つは、「協働と参画で切り拓く『自治のまち新宿』です。
 少子高齢化が続き、「人口減少社会」に入った今日、これまでの社
会制度の支え手が減少する中では、国も自治体もこのままでは持続す
ることができません。中央集権の画一的な国の形を改め、なお一層の
自治体への権限と財源の遺譲を進めることで、分権型社会を築いてい
くことが、今、求められています。
 そのために、私は、地域の多様な主体との協働と参画による『自治
のまち新宿』を区民の皆様とともに切り拓いていきたいと考えていま
す。

 私は、ただ今申し上げたような都市像の基本認識のもと、次の3つ
の基本姿勢を持って、区政運営を行ってまいります。

 第一に、現場現実を重視した、柔軟かつ総合性の高い区政運営です。
 区は、最も身近な基礎自治体として区民の皆様の生活実態を把握で
きる立場にあります。そうした区民生活の現場から政策を立案し、総
合化して効果的で効率的な区政運営を行います。
 第二に、公正かつ透明性の高い区政運営です。
 公正かつ透明性の高い区政を運営するには、あらゆる場面で説明責
任を果たし、区政が区民の皆様に公平に開かれたものでなくてはなり
ません。積極的な区政情報の提供や徹底した情報公開により区政の透
明性をより一層高めてまいります。
 第三に、区民の協働と参画による区政運営です。
 地方分権の推進により、基礎自治体にはこれまで以上に地域の実情
に合わせた区政運営が求められます。そのために、区民の目線で区民
とともに新宿のまちを創り、協働と参画の取り組みを一層、進めてま
いります。

 次に、以上申し上げてまいりました基本認識と3つの基本姿勢の下
で進めたいと考えている具体的な政策について申し上げます。

 現在、新宿区では、基本構想の見直しや新たな基本計画・都市マス
タープランの策定に向け、区民会議の皆様方からいただいた提言を基
に、基本構想審議会、都市政策審議会で精力的な審議をしていただい
ております。私は、両審議会からいただく予定の答申を基に、私がマ
ニフェストという形で公表した区民の皆様との約束を踏まえ、議会の
皆様方と十分な議論をしたうえで、19年度中を目途に基本構想の見
直しや新たな基本計画・都市マスタープランを策定していきたいと考
えています。

 こうした基本的な視点のもと、現在、私たちが考えている主要な基
本政策について各分野別に申し上げます。

 第一の分野は、「子ども・高齢者・障害者いきいきコミュニティタ
ウン新宿」についてです。
 第一は、子育てのしやすいまち『子育てコミュニティタウン新宿』
を目指して、子育て・教育施策を総合的に推進することです。

 出生率の低下は、個人の価値観や人生観、経済環境などによるとこ
ろが大きく、行政の取り組みだけで歯止めをかけることはできません。
しかし、安心して子どもを生み育てることのできる社会を築き、次代
を担う一人ひとりの子どもを大切に育む環境を創ることは基礎自治体
として取り組まなければならない重要な課題であると考えます。

 そのために、保育園の入所待機児童の解消に向け、保育園の定員拡
大と産休明け保育や延長保育の一層の拡大を図るほか、老朽化した区
立保育園を建て替える際に民間活力の積極的な導入を図ることで、定
員枠の拡大と新たな保育サービスを提供します。さらに、区民がより
利用しやすい認証保育所や保育室、家庭福祉員制度とするため、認証
保育所等への助成を拡大し、保育料を軽減するほか、幼稚園と保育園
の連携一元化を進め、子ども園を設置して参ります。

 また、妊娠期間中の経済的負担を軽減し、母体の健康保持増進を図
り、健やかに安心して出産を迎えられるよう、妊婦検診費用の助成を
大幅に拡大するほか、乳幼児医療費助成事業については、子どもの健
康や子育て支援の観点から、東京都の助成事業に合わせ、新宿区とし
ては所得制限を設けず、自己負担がない形で、中学生まで対象の拡大
を図ってまいります。

 次に、学童クラブの充実を図るため、新たに学童クラブを開設する
とともに、既存の学童クラブのスペースを拡充する施設整備を行いま
す。併せて、小学生が放課後、安心して過ごすことのできる居場所と
して学校施設を活用して行う「放課後子どもひろば」を開設するとと
もに、子育てと仕事の両立しやすい職場作りを目指し、専業主に対す
る支援を進めます。

 つぎに、地域に根ざした学校づくりを目指し、地域住民や保護者の
学校運営への参加を進めるため、コミュニティースクール制度の導入
に向けた支援を行います。
 また、学校教育における「確かな学力」の育成を図るため、教員の
交流など小学校と中学校の連携を支援するほか、全ての小学校で就学
前の親子交流事業を実施するなど、幼稚園や保育園と小学校との連携
を支援して参ります。

 さらに、軽度発達障害などの障害を持つ幼児や児童・生徒への総合
的な支援体制を確立します。

 第二は、高齢者や障害者など誰もがいきいきと暮らせる『いきいき
コミュニティタウン新宿』を目指して、高齢者・障害者施策などを推
進することです。

 平成19年以降は、団塊の世代が定年退職を迎え、地域で新たな生
活を始めます。その豊富な知識や経験、ネットワークを活かして地域
社会で貢献していただくよう、様々な機会や支援の仕組みを創ってい
きます。
 そのため、就職や起業、ボランティアなどの総合的な相談窓口を開
設するともに、地域活動の場、健康の維持増進の場として、ことぶき
館を再編整備していきたいと考えております。

 また、区民の健康づくりと介護予防を推進ために、区民が安心して
歩けるウォキングコースのの設置や、運動機器を設置した「いきいき
パーク」を整備するほか、元気館事業を充実させるとともに、介護予
防教室など介護予防事業の拡大を図ってまいります。

 次に、介護不安のないまち新宿を目指し、介護サービスを充実しま
す。
 そのために,第3期介護保険事業計画に基づき、特別養護老人ホー
ムや夜間対応訪問介護、認知症対応型通所介護などを整備するととも
に、特別養護老人ホームの体制を充実させるための助成を行います。
さらに、第4期介護保険事業計画期間中に新た中規模特別老人ホーム
の開設を目指します。
 
 また、高年齢者の孤独死を防ぐ取り組みを区内全域に広げるほか、
高年齢者の「ちょこっと困りごと援助サービス」を本格実施するとと
もに、民間賃貸住宅に住む高齢者が移転する際の私怨策をより利用し
やすいものにします。
 次に、ノーマライゼイションの理念のもと、障害者の方々が、住み
なれた地域で安心して暮らせるようにするため、身体障害者入所支援
施設や知的障害者入所支援施設の設置を進めるほか、障害を持つ中学
生や高校生の放課後や長期休暇の居場所づくりを行う民間の法人に対
して区有施設を提供するなどの支援をしています。
 さらに、障害者自立支援のサービスは、これまでの支援水準を維持
するとともに、利用者負担の軽減策を拡大してまいります。
 また、障害者等が各々の状況に応じて働ける環境を整備するため、
現在のチャレンジワークの就労を地域と連携し、総合的に支援する
「仕事センター」の開設を目指します。

 第二の分野は、『水辺・緑・風・歴史・文化を感じる美しい町新宿」
についてです。

 第一は、水辺と緑のネットワークを整備し、景観を守り創るまちづ
くりを進めることです。

 まず、玉川上水を偲ぶ流れを創出させ、江戸の水辺の記憶を再生し
たいと思います。
 また、現在展開中の「新宿りっぱな街路樹運動」とあわせ、新宿の
まちを花と緑で飾る「新宿花いっぱい運動」を展開するとともに、道
路を賑わいの交流空間として活用するオープンネットカフェを展開し
ます。
 さらに、おとめ山公園を拡大し、区民ふれあいの森として整備する
ほか、ポイ捨てや路上喫煙禁止の徹底を図ります。

 また、区内鉄道全駅に自転車駐車場、または整理区画を設け、放置
自転車のないまちを目指します。
 さらに、資源循環型社会の実現を目指し、ゴミの発生を抑制し、リ
サイクルを徹底するために、容器包装リサイクル法に基づくプラスチ
ックの資源回収を実施するともに、リサイクル活動センターの移転・
事業の拡充を検討してまいります。
 また、地球温暖化対策への取り組みを進めるため、環境学習情報セ
ンターの機能を拡充します。
 第二は、新宿の歴史・文化資源を積極的にまちづくりに活かすこと
です。

 自分たちのまちの歴史や文化を知り、それを積極的に発信していく
ことでまちへの愛着と誇りが育まれます。
 
 そのために、漱石山房復元の取り組みを開始するほか、地域の文化
財、お宝を広く公開する仕組みを整備します。

 第三の分野は、『賑わい、交流・活力のまち新宿」についてです。

 
 第一は、歌舞伎町ルネッサンスを推進するとともに回遊できる新都
心づくりを進めることです。

 歌舞伎町を「大衆文化の企画・製作・消費の拠点のまち」として再
生させます。
 そのために、歌舞伎町まちづくり誘導方針を策定し、賑わいと安全
のまちづくりを進めるほか、まちの維持管理を行うタウンマネジメン
ト組織の設立を目指します。
 また、新宿駅東西自由通路及び地下鉄13号線とサブナードとの接
続については、19年度中の都市計画決定を目指します。
 さらに、明治通りバイパスの完成後、新宿駅東口地区に歩行者専用
空間としてモール化を図ってまいりたいと考えています。
 また、20年度を目途に新宿駅周辺にコミュニティバスを導入する
とともに、他の地区への導入についても検討してまいります。

 第二は、新宿のまちの賑わいや交流の力を高めるため、創造型産業
の振興を図り、コミュニティビジネスの育成や商店街の活性化を進め
るとともに、文化観光都市新宿を発信することです。

 豊な活力と魅力あるまちづくりを進めるうえで、地域経済の発展と
文化観光の振興は欠かせません。

 まず、エンターテイメントのまち新宿の実現に向け、新宿に進出す
る演劇や映像クリエイターなどを対象に創業支援融資などを創設し、
創造性ある芸術文化活動や産業を誘導するほか、地域ブランドを創造
する視点から伝統産業の熟練工を認定する制度の設立を目指します。
 また、空き店舗活用など商店街の活性化やコミュニティビジネスの
育成を図るため、商店街の活性化やコミュニティビジネスについての
相談員制度を創立するとともに、新宿の文化観光をPRするため、東
京商工会議所新宿支部や新宿区観光協会と連携し、観光シティガイド
認定制度を創設したいと考えます。
 第三は、外国人が多く住み暮らすことを新宿の特性として積極的に
捉え、互いに理解しあい、共に生きていく多文化共生のまちづくりを
推進することです。

 そのために、「多文化共生プラザ」のネットワーク機能を強化して、
情報提供や交流を活性化し、地元町会や商店会等と連携し、外国人の
区政参加を進めていくことにより、外国人と日本人の相互理解を促進
してまいります。

 第四の分野は、「安全・安心のまち新宿」についてです。

 第一は、減災社会の実現を目指し、地震や水害に対する備えを強化
することです。

 安全で災害に強いまちは、全ての区民の願いです。東京直下の地震
がいつ起きても不思議ではないといわれる中で、区民の生命や財産を
守ることは、区に課せられた大きな使命です。自然災害を防ぐことは
できませんが、被害を最小に抑える減災社会の実現は可能です。
 そのため、耐震診断や耐震補強工事への助成など、区内住宅の耐震
化を積極的に進め、27年度までに区内住宅の耐震化を90%まで高
めることを目標にしてまいります。
 また、19何度以降、富久町地区の公園を整備し、地域の防災性の
向上を図ってまいります。

 第二は、関係機関や地域と連携し、犯罪を許さないまちづくりを進
めるとともに、子どもや高齢者の安全を地域ぐるみで守ることです。

 全国各地で起きた子どもをめぐろ痛ましい事件を契機に、区内でも
地域ぐるみで子どもたちの安全を守る一層の取り組みが、求められて
います。そこで、すべての小学校の子どもの安全プログラムを実施す
るとともに、子どもを守る「子ども安全ボランティア事業」の開始を
目指します。

 また、安全安心の視点から、19年度以降区内の街灯の総点検を進
め、改善を図るほか公園灯の新設、掲示板などの改善を行い、安全で
利用しやすい公園を整備してまいります。
 さらに、火災の早期発見とともに防火意識の向上を図るため、高齢
者世帯に対する簡易型火災警報器の普及を図ってまいります。

 第三は、ユニバーサルデザインによるまちづくりを進めることです。

 バリアのないまち新宿を目指し、誰もが利用できる、ユニバーサル
デザインの理念に基づいた町まちづくりをすすめるため、各種の基準
やガイドラインを見直し、新たな策定を行ってまいります。

 第五の分野は、「みんなで担い、支える自治のまち新宿」について
です。

 第一は、自治の町新宿の仕組みを創るとともに、NPOやボランテ
ィアの力をまちづくりに活かすことです。

 私は、区民との協働と参画を進めることで、一人ひとりがまちづく
りの担い手として、地域社会に主体的に関わりを持てるような、住民
自治の仕組みを充実していきたいと考えています。そのために、自治
に基本理念や基本原則を定めた(仮称)自治基本条例の制定を目指す
ほか、地区協議会の機能の拡充を図るとともに、地区協議会を支える
特別出張所の支援体制を強化してまいります。
 さらに、予算編成過程への区民参加を進めるため、共同事業提案制
度を充実します。

 第二は、好感度一番の区役所を目指し、区民サービスの一層の向上
を図ることです。

 区民からの問い合わせに24時間対応するコールセンターの整備を
図るほか、平日の窓口開庁時に来庁困難な方のために繁忙期の休日開
庁を行うとともに、住民票など証明書の自動交付機の設置について検
討してまいります。
 また、中央図書館の情報センターとしての機能を強化するとともに、
中央図書館の今後のあり方については、抜本的な検討を行いたいと考
えています。
 さらに、行政の効率化、情報化、総合化を一層進めるとともに、新
基本構想・新基本計画の受け皿となる施策や事業の再構築に併せて、
区政課題に的確に対応できる組織体制を整備するため、20年度を目
途に組織の見直しを行ってまいります。
 また、区民の暮らしを支え守っていく観点から、税制改正による区
民負担の軽減策については、さらに拡充してまいります。
 最後に大都市東京における都市のあり方と役割分担を踏まえ、基礎
自治体である新宿区が区民の皆様に対し責任をもった行財政運営がで
きるようにするため、特別区制度の改革を引き続き進め、区の自治機
能の一層の拡充を目指してまいります。

 以上、私が向こう4年間、区長として区政を担当するにあたっての
基本姿勢等所信の一端を申し上げました。