一般質問
私は、コミュニティーFM放送局について、区長に一般質問いたします。よろしくご答弁をお願いいたします。
東京経済大学の山田教授によれば、「コミュニティーFM」とは、概ね市区町村を単位とする小出力(
20W以下)のFMラジオ放送局として1992年に制度化された地域メディアである、と定義されています。
1992年12月、函館市の「FMいるか」が最初の事例で、その後急速に普及が進み、2004年11月現在では全国170局以上が開局しています。
今後も設立が続くものと予想されており、来月12月には北九州小倉北区に「きたきゅうしゅうシティFM」が開局予定ということです。
さて東京都に目を移しますと、武蔵野市、多摩市、西東京市、調布市、また23区内でも渋谷区、葛飾区、江戸川区、中央区、世田谷区、江東区の10地域が現在開局、放送を行っています。
特に江東区では昨年7月「大江戸放送局」として開局したばかりです。
東京の放送局をその資本・事業形態で分類しますと、いわゆる第三セクターが六つ、純民間が四つとなっています。
特徴としては、都心では民間が主で、都心から離れた地区は公的性格が強くなります。これは地域の情報を伝えるメディアとしての性格は同じでも、営業面では都心区は広告収入が見込めることを反映しています。
さて今回の質問のきっかけとなったのは、10月23日の新潟県中越地震ですが、阪神淡路大震災でもコミュニティーFMが地域の情報源としてかなり活躍したと聞いております。
火災で甚大な被害を出した神戸市長田区では、被災後の2週間から3ヶ月の間に三つの外国人向けミニFM局が生まれ、その後半年を経て二つのミニFM局が統合し、震災からちょうど1年後の平成8年1月17日に、「FMわいわい」としてコミュニティーFM局が誕生しました。
地域の外国人への情報、被災後の生活情報、復興情報などの提供などがおこなわれ、大きな役割を果たしたそうです。
また今回の新潟県中越地震でも二つのコミュニティーFMが現在活躍しているようです。長岡市のコミュニティー放送局「FMながおか」では、小千谷市の要請を受けて震災からわずか三日目の10月26日、臨時災害放送局を開設しました。これは従来のFMながおかの出力を五〇Wに上げ、地域を長岡市だけから小千谷市まで広げるというものです。
もうひとつは新潟県十日町市に一日遅れの27日に開局したもので、「十日町市臨時災害FM」という名称で、十日町、川西町などをカバーしているようです。
臨時災害放送局とは臨時目的放送の一種で、災害情報を放送することを目的としており、最大6ヶ月以内、免許申請は自治体の市長村長がおこない、総務省電波管理局が許可を出す。ただし臨時といえども、既設の局との技術的調整があり、簡単には設置できないようです。
全国ほとんどのコミュニティーFM局は、内容に程度の差はあるものの、何らかの形で災害協定を行政と結んでいます。
震災直後の、もっとも重要な要素は、身体の安全を除けば、まず
「情報」です。むしろ「情報」が生死を決することも十分考えられます。行政の支援が期待できない震災後の三日間がもっとも困難な時間といわれています。コミュニティーFM放送は、特に地域の被災状況、避難民の誘導情報、住民の安否情報、さらに大都市特有の帰宅困難者情報などの提供、流言飛語の防止にも役立つと期待されます。
また被災者側、すなわち情報の受け手側はどうでしょうか。実際、日常どれだけの人がFMを聞いているのか、あるいはFMラジオを持っているのでしょうか。
FM付きの携帯ラジオも普及していますし、ほとんどの乗用車などにFM対応のカーラジオが装備されている現状を考えると、災害時に問題はないと思います。
現に新潟県中越地震でも自家用車が避難所代わりに使用されています。自家用車はいまや重要な臨時防災施設の一部になっています。
以上のようにコミュニティーFMは災害時に大いに役立つわけですが、平常時にも地域文化の発信の手段として大いに利用価値があると思います。
最近開局した江東区の大江戸放送局では「見せるラジオ」をコンセプトにスタジオを街中に設けたりと、民間としてさまざまな工夫がおこなわれていますが、スタジオ内の様子をインターネット中継することによって、簡易型ではありますがテレビの生中継放送の機能も持っています。
以上、コミュニティーFMの長所を述べてきましたが、その収入、運営費用、設置費用は一体どうなっているのでしょうか。
第一に収入ですが、放送事業による広告収入がその大部分です。公的情報を提供する媒体ですから、平均して収入の30%以上が公的広告料と、公に大きく依存しているのが現状のようです。
次に運営費用に関しては、専門職員が5名程度、その他外注として10名程度のスタッフが平均的放送局の姿ですが、人件費を除いて年間6‐700万円、人件費を入れると全国では年間総費用3000万円‐1億円程度の運営費用が掛かるようです。
第三に初期投資として設置費用がありますが、放送機材だけの費用で3‐4000万円、臨時の簡易型の場合では3‐400万円ということです。
少々古い資料ですけれども、2000年3月の日経新聞によれば、三分の二の放送局が何らかの形で収支が赤字となっているそうです。
したがってこれから設立する局は公が設立するのではなく、新宿区のポテンシャルを生かして、民間の主導が望ましいと言えます。
商工会議所やその他経済関係団体、一般事業者などの協力が得られれば、スポンサーやスタジオ提供、プログラムの企画など、民間がおこなうというのはいかがでしょうか。その場合、民設民営を基本にどの程度まで公的な情報を流せるのか、の問題となるでしょう。
先ほどの山田教授のFM西東京の研究によると、ボランティア(大学生 専門学校生など)の無報酬のスタッフの存在も大きいようです。特に西東京市と直接関係のないスタッフもいて、ボランティアをおこなっている点が指摘されています。
新宿区にはたくさんの大学や専門学校、特に放送を専門とした学校があります。
新宿区のポテンシャルを考えれば、一番の問題は許認可の問題、具体的に言えば、「電波の割り当て」という物理的、技術的な問題と聞いています。
実は、以前検討されながら計画が中断しているのもこの問題とお聞きしています。確かに23区内では周波数帯に空きがなく混信の恐れから新局はほとんどできないとも聴いております。
しかしその後の技術的進展はないのでしょうか。
そこで区長にお尋ねいたします。
第一に これまでに新宿区としてコミュニティーFMの開局を検討
したことはあるのでしょうか?それはどのような観点、目的からな
のでしょうか?
第二に 日進月歩の技術革新のなかで、再度、技術的可能性を研究
されてみてはいかがでしょうか。研究する価値は十分にある、と思
います。
特に新宿区の場合、災害時での帰宅困難者への情報提供、平時に
おけるさまざまな地域文化の発信を通じて、中山区長の提唱する都市型コミュニティーの再生に大いに役立つ、と考えます。
以上で私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
答弁要旨
下村議員のご質問にお答えします。
新宿区内におけるコミュニティFM放送局については、守口市のFM局が震災時に活躍したことが契機となって、平成8年の動きに区が協力する形で検討が始められました。費用負担、施設の設置など様々なハードルがありましたが、民間資本による経営で地域密着型の情報発信放送局「新宿FM」として、平成10年2月に国に対して免許申請した経緯があります。その後、平成11年10月に電波法に基づく審査の結果、残念ながら新宿地域においては、周波数の割り当てができないとの理由で免許申請が拒否されました。
当時は、阪神淡路大震災の後ということもあり、商店街や産業の情報、区のPRなど地域の活性化を目指した情報発信に留まらず、震災時には、身近で正確な情報を速やかに流すことによって、住民の不安を和らげるとともに、二次災害を防止するなどの活用が期待され放送局設立の努力がされました。
国からの情報では、平成11年当時と通信事業を取り巻く環境に変化はなく、23区中心部での周波数のひっ迫という状況は変わらないとの回答を受けています。そのため、現状では、コミュニティFMの開局を申請することは困難な状況であると考えます。
しかしながら、日頃から、区民への速やかで的確な情報提供と情報の共有化に向けた取り組みは、災害課題と認識しております。今後とも、情報発信のための新しい技術やテレビ、ラジオ、インターネットなど様々なメディアとの連携を検討してまいります。