一般質問

 先日2月の1日ー2日と災害等対策特別委員会で阪神淡路大震災から満十年を迎えた神戸市に
視察に行って参りました。そこで学んだこと、考えたことに基づき質問いたしたいと思います。
ご答弁をよろしくお願いいたします。

 質問に入る前に、まず今回の視察の感想を述べたいと思います。
 その第一はなんといっても阪神淡路大震災記念人と防災未来センターでの映像展示でありました。
まさに大震災直後の神戸市を中心とした震災の再現映像は、実に衝撃的であり、今回の新宿区作成
ビデオでも冒頭同様のものが使用されていますが、まさに一瞬の出来事であり、なによりも身の安全を
確保すること、事前の対策以外、安全への有効な手立てはない、と感じました。

 そこで第一の質問に入ります。一昨年の目黒教授による防災セミナー開催から、この阪神淡路大震災
の教訓を生かして、人命の観点から事前対策の重要性が叫ばれてきたわけです。
 1 木造住宅の耐震補強について これまで新宿区の取り組みが行われて来ましたが、現在の状況は
いかがでしょうか。
 2 なかなか進まないとお聞きしていますが、その原因は何なのか、区はどのように認識しておられるの
でしょうか。たとえば、より前進させるために、利用者の簡便性に対して配慮があってよいのではないで
しょうか。
 3 このハードルを下げる今後の改善策はなにかあるのでしょうか。
 4 また木造、マンションに限らず、家具の固定についてはどのように進展しているのでしょうか。啓発
活動さらに区民による転倒防止の実施がどのように浸透しているか、調査で知るのもひとつの方法では
ないでしょうか。

 感想の第二は阪神淡路大震災は早朝の神戸で起こったという事実でした。先ほどの人と防災未来センター
での映像はまだ活動時間に入っていない、ほとんど深夜に近いまちの様子を映し出していました。これが
昼間や夕方の新宿で起こったらと考えると、被害は全く異なる様子となるのではないでしょうか。
 この発災後の課題について次に質問いたします。
 これまでの新宿区の取り組みについては、平成16年3月に「帰宅困難者報告書」が出され一定の評価を
得たと思います。
 そこで報告書の構成に沿ってこの問題を考えて見ますと、地震発生の想定条件によりますが、区内で
35万人の帰宅困難者が発生すると言われています。さらに震災直後、公共交通機関の被災情報を求めて、
近隣区から一日の乗降客350万人と言われる新宿のターミナル駅を目指して、帰宅困難者が殺到する
ことが予想されます。しかもその中には多数のけが人も含まれると予想されます。
 新宿区では、事業所の情報提供や時差帰宅への協力、徒歩帰宅訓練の実施、たとえば歌舞伎町地区
での映画館の休憩所提供などが検討されています。
 新宿駅周辺のあふれかえる人間をコントロールできるのでしょうか。このレベルの話は基本的に東京都
や国が計画立案するべきものでしょう。地震の規模にもよりますが、直後には従来の警察力、消防力だけ
では到底対応しきれない場面が想定されます。
 そこで質問いたします。自衛隊が有効に出動できるのか、がこの問題の鍵を握っていると思います。
自衛隊出動とその役割に関して、新宿区はどの程度関与できるのか、あるいは要望できるのでしょうか。
  
 感想の第三に、このところ、たとえば先日の新宿区の溝上先生の防災セミナーのような機会に、想定地震
の説明のなかで、地震のタイプについてかなり詳しく述べられることが多くなったように感じます。これに伴い
従来あまり議論されてこなかった長周期地震波の問題が取り上げられるようになってきました。
 昨年1月、NHKで放送され注目をあつめるようになったこの問題はまだ解明できていないことが多くある
ようです。
 この問題は一昨年の十勝沖地震での苫小牧の石油タンク火災で指摘されていることがきっかけです。
 最悪の場合、新宿超高層ビル群への打撃も想定されるようなこの問題を、区はどのように認識して
おられるのでしょうか。
  
 感想の第四に、この10年間の神戸市の復興の様子とそのプロセスをまじかにこの目で確かめるということ
が今回の視察の主要な目的でありました。復興の難しさ、とくにそのプロセス、手続きの難しさについて
改めて感じました。
 今回赤羽議員の紹介で、震災直後の全焼で有名になってしまった長田区の商店街の方と、復興について
お話を伺う貴重な機会を得ることができました。内容は公式統計では知ることのできない貴重なお話でした。
 この10年間の復興の様子を今年1月に発刊した「フェニックス兵庫=創造的復興10年のあゆみ」で見て
いくと次のようです。
 第一に住民の「まちの復興感」は80%を超えています。復興の指標となる人口は平成13年には越しました。
神戸市内では先ほどの長田区の80%を除いて、中央区、東灘区、西区で震災前を越えています。
有効求人倍率も平成16年10月には過去10年間でもっとも高い数字となっています。
 自主防災組織の組織率はすでに2年前の平成14年には90%を超えています。
 しかし一方で整備事業は復興土地区画整理事業域で工事完了率が25%、復興市街地再開発事業域でも
工事完了率は40%です。これを概ね順調とみるか、遅れと見るかは意見の分かれるところかもしれません。
 このような復興のマクロ的側面は長田区でのミクロの話とはかなり異なっていると感想を持ちました。
 そこで質問に移ります。
 1  神戸の復興について 特にそのプロセス、神戸の実績について、お答えできる範囲で、新宿区の考えを
お聞かせください。
 2  もうひとつ、神戸の復興で忘れてならないのはボランティアの登場とその活躍です。ボランティアが全国
からやってきます。その受け入れ態勢を新宿区としても考えておかなければいけないと考えます。
いかがでしょうか。

 そして最後の項目に移ります。新潟県中越地震で関心の高まっていたところへ、中央防災会議の関東地震
の被害想定や、東京都の地域危険度測定調査など、様々な形で地域の危険情報について、新聞や週刊誌など
で発表・報道がなされました。
 この情報提供をめぐってはいたずらに騒ぐのではなく、これらをそれぞれの防災活動に役立てていかなければ
意味がないと思います。
 行政が主導できることではないかもしれませんが、町会や商店街そして地域防災協議会などを通じて、なぜ
そのような評価を自分たちの地域は得たのかを地元で議論いただくことが大切ではないでしょうか。
すなわち情報のフィードバックが重要ではないでしょうか。
 以前防災マップ作りの中でいくつかの町会が集まって防災地図作りを進めてきました。これらを単に見直す
のではなく、そのための対策を一歩進めて、ぜひそれぞれの地域でこれらの対策の検討を進めることがたいせつ
ではないでしょうか。この点についての区のお考えをお聞かせください。

答弁要旨

 まず、木造住宅等の耐震化支援事業の取組状況と耐震化がなかなか進まない原因、その改善点についての
お尋ねですが、昨年7月の事業開始から、本年2月現在で、100件を超える予備診断の受付を済ませています。
診断にあたっては、区職員が直接区民のお宅に伺い、相談を受けているところです。現在のところ、経済的な
負担感もあり、工事に絡む助成の実績は1件で、着工届けが提出されているものが4件でございます。
 また、工事の実施を助成の要件としていることは、施策の実効性を高めるため、診断のみで終わることなく、
補強工事につなげていこうという考えからです。
 今後は、事業を前進させるために、経済的負担が比較的少ない簡易な補強工事の周知を積極的に行い、
さらに、今年度製作した耐震化の重要性を訴えるビデオやDVDを活用して、地震の怖さを区民に意識して
もらうことで、利用を促してまいります。

 次に、家具固定についてです。
 現在、区ではアクション04事業として、地震被害軽減啓発映像による区民への啓発活動と家具転倒防止器具
の取付け助成を連動させた、家具転倒防止器具設置促進事業を実施しています。
 その結果、本年度、区あっせんの家具転倒防止機器購入数は前年度と比較して大きく増加しています。
 また、町会でまとめて購入したという話も聞いており、区民の家具固定が一定程度進んでいるものと考えて
います。
 家具転倒防止器具普及状況の調査につきましては、調査を行なうこと自体が意識啓発活動にもなりますので、
「区民意識調査」の中で実施してまいります。

 次に、災害時の帰宅困難者等と自衛隊の役割についてのご質問です。
 駅周辺で帰宅困難者の滞留や混乱を防ぐためには、従業員・顧客等は一時的に施設内に留まっていただくことが
必要です。
 そのため東京都は、公共放送機関等と協定を結び、鉄道機関の状況を災害情報として提供することとしています。
 災害時における自衛隊の派遣要請は限定されており、部隊の活動内容は人命救助を最優先とした各種救援活動
です。 万一、ターミナル駅周辺で自衛隊の救援活動が必要な事態となった場合は、他の期間と活動が競合重複
しないよう区長が調整し、救援活動を行なっていただくことになります。

 次に、長周期地震動に対する超高層ビルへの影響についてお尋ねです。
 長周期地震動とは、大規模地震により、周期が20秒以上の振幅の大きな振動で、一般的な揺れの後に
起こるものといわれています。
 しかし、学術的にも、この建物への地震動の影響は未解明な部分が多く、研究もまだ半ばといったところです。
 区としては、広く情報収集等に努めてまいりたいと考えます。

 続きまして、「神戸復興について、そのプロセスや実績に対する当区の見解」についてのお尋ねです。
 神戸の震災復興が相対的に概ね7割から8割の復興を遂げたと言われる中で、復興土地区画整理事業や
復興市街地再開発事業の完了率は、いまだにその水準に達していない状況にあることは承知しております。
このことは取りも直さず、土地区画整理事業や市街地再開発事業の施行にあたり、たとえ震災復興手続きや、
関係権利者の合意形成といったプロセスを大切にして、住民を主体とした都市復興に丁寧に取り組んでいること
の証でもあるように思われます。
 また、神戸市長田区の真野地区のように、震災以前から住民がまちづくりに取り組むなど、住民のまちづくり
意識が高かった地区については、都市復興が比較的に早く進んだとも言われています。このことからも、住民を
主体としたまちづくりの平等からの取り組みが如何に大切であるかを知ることができます。
 当区といたしましても、このことを念頭において、区民主体の地域力を活かしたまちづくりに取り組んでいかなければ
ならないと認識を新たにいたします。

 次に、ボランティアの受け入れ態勢に関するお尋ねです。
 震災時のボランティア活動につきましては、阪神淡路大震災、また、昨年の新潟県中越地震においても、多くの
ボランティアが全国各地から駆けつけ、多様な活動を展開しております。
 救援物資の仕分け・搬入、吹き出しから救護活動まで、ボランティアの果たす役割は大きく、不可欠なものと
認識しています。
 しかし、現地に行っても、情報不足や受け入れ態勢の不備などから、効率的なボランティア活動が出来ないという
事態も生じています。
 区では、地域防災部のボランティア調整班が窓口となり、ボランティアの受け入れ、関係機関・団体等との調整を
図り、活動場所への派遣を行なうこととしております。
 現在、ボランティアの円滑な受け入れのため、「災害時応急活動マニュアル」について、新宿区社会福祉協議会
との災害時の協定の締結や、ボランティアの受け入れ場所の再検討などの見直しを進めています。
 このような見直しとともに、関係機関・団体との連携を密にし、ボランティアの方々がその力を十分に発揮できる
態勢の確立に努めいてまいります。

 次に、地域の危険情報についてです。
 中央防災会議は、首都直下地震について、東京都の想定を大きく上回る被害想定を公表しました。
 また、東京都は、町丁目ごとに危険度合いをランク付けした地域危険度を公表しています。
 それによると、区内の少なからぬ町丁目が危険の度合いが高いランクに位置づけられています。
 地域危険度の公表の要旨は、自分たちの地域の危険性を認識し、いざ災害に備えて対策を講じる契機にして
いただくことにあります。
 区では、各防災区民組織に危険度調査結果をお知らせし、問題点を提起しておりますが、今後は危険度の高い
地域に対し、更に重点的に働きかけることのより、地域の方々が危機感を持って、災害に強い安全なまちづくりに
取り組んでいただくように働きかけてまいります。