平成十八年第一回区議会定例会 一般質問
 自民党新宿区議団の下村はるおです。
 体験的学習と公園活用について、一般質問いたします。
昨今、教育について様々な観点から、見直しや新たな取り組みが叫
ばれ、模索されています。
 学力の低下や少年犯罪の低年齢化、突然のキレと粗暴な行動など
の原因を巡って、いろいろな考え方が出されています。
 子どもの健全な育成は社会全体の大きな責務です。心も体も未熟
な子どもに、親はもちろん、教師や地域のおじさん、おばさんが声
をかけ、温かく見守り、時には厳しく叱るといったことが、いまこ
そ必要な時代はありません。

 このような子どもの教育について、家庭、学校、地域という担い
手の観点からの議論が行われてきました。一方、子どもは何のため
に教育を受けるのかといえば、社会人になった時、目の前の課題や
将来の目標に対して、「自ら考え、判断する能力」を養うことであ
ります。この判断能力をいかに養うかについてはいくつかのポイン
トがあると私は考えます。

 その第一は「実体験、体験的学習」であります。この重要性につ
いては昨年の第4回定例会の小倉議員の一般質問でも取り上げられ
ました。
 最近、子どもの生活に「テレビゲーム・携帯ゲーム」などの、い
わゆるバーチャルな世界の浸透があります。リセット可能な、人の
痛みが自分の痛みとして感じられないこのような世界は、子どもの
想像力を育てることなく、むしろその芽を摘み取っています。
 中山区長は「他者への想像力の翼を大きく広げて」というフレー
ズをしばしば使われますが、想像力は「判断力」にとって重要な構
成要素であり、実体験の積み重ねがなければ育たないと私は考えま
す。

 その第二は集団としての規律、ルールの遵守であります。人間は
社会的動物であるといわれてきました。社会の一番基本的な単位は
家庭ですが、最近マスコミが取り上げる事件は、誠に残念ながらこ
の家庭が崩壊したために引き起こされたものが多くみられます。
 社会の中で人間関係を確立できなければ、我々は生活を営むこと
ができません。そして社会とのつながりが理解できなければ適正な
判断は出来ません。しかし子どもは生まれながらにして社会の規範
に従うように生まれてきた訳ではありません。社会のルールを親や
地域の先輩や学校の先生に教えられて始めて、それを知るのです。

 先日の「子育てコミュニティータウン新宿」の中で、ゲスト、さ
わやか福祉財団の堀田力さんは、次のようにおっしゃっていました。
親から愛情を受けず、他者から関心を持たれず、社会から必要とさ
れていない、と感じる子どもは自分を傷つけるばかりでなく、自暴
自棄になって何のためらいもなく他者を傷つける、といったことを
述べておられました。
 
 学校教育の中で先の2つの課題は重要な目標になっており、教育
委員会がそれに力を注いでおられることは十分承知しております。
しかしこれらの体験的学習や集団としての規範指導といった課題を、
学校教育現場の中だけで解決することは難しい側面があります。
 第一の問題について言えば、学校が管理を優先する問題でありま
す。体験的学習には程度の差はあるものの危険の可能性があります
。一方で自主的に集まった子どもたちならば、「自己責任」という
キーワードによって、この問題を袋小路とは違う方向に導くことが
できます。
 第二番目の問題について言えば、一方的、強制的な集団行動は良
くない、あるいは価値判断を押しつけるのは良くない、という考え
もあります。しかし、同じ教育機関の私立学校はそれぞれの創立理
念を持ち、それを特色として重んじる教育を行っています。
 私の体験でも一つの基本理念を柱として教えられ、それを基に今
は自らの考えを曲がりなりにも持てたように思います。
 当然、公立学校には当てはまりません。この場合も「自主的」と
いう言葉がポイントです。
 私たちが今できることは、地域で民間組織が賛同する人たちを募
り、学校では教えにくい実体験や社会の集団的規範を教える道を拡
げることです。
 
 これまでも様々な民間組織や団体がこれらの実績を上げてきまし
た。子どもたちや親に呼びかけ、公園で自由に遊ばせたり、季節に
合わせ芋ほりやキャンプなど、野外活動を中心に子どもたちの自立
と集団としての規範を教える民間活動です。新宿区も様々なチャン
ネルでこれらの活動をバックアップしてきました。
 さてこのような実体験をともなう社会教育を、一体私たちはどこ
で行えばいいのでしょうか。民間施設もありますが、一つの大きな
可能性は地域の公園であります。

 新宿区内には大小合わせて一七〇近くの公園があり、国が管理す
る公園が2つ、都が管理する公園が2つあります。その中ですでに
都立戸山公園などで活動の実績があります。
 これらの公園を利用した活動は土や木や水に触れ、遊ぶといった
子どもの教育的見地からばかりでなく、社会全体にとっても、子育
て支援、世代間交流、環境学習の点からも重要です。
 これらの活動に公的な分野が主導して一律的に画一的に関わるこ
とに、私は必ずしも賛成いたしません。なぜなら地域の公園は物理
的な規模も違いますし、立地する地域の事情も違います。民の担い
手がすべての地域に存在するわけではないからです。「協働」とし
てあくまで地域の自発的な取り組みに対して、公が支援を行うべき
と考えます。
 このような観点からみると都立公園の最近の動きは、地域の人々
や団体に対してさらに一歩進んだ柔軟な対応しているように思いま
す。もちろん防犯や防火、安全に十分配慮しての実績の積み重ねが
あってのことであり、東京都が簡単には対応しないことは分かりま
す。
そこで新宿区と教育委員会にお尋ねします。
《質問1》
第一に、このような公園などを舞台とした活動に対して、どのよう
に考えていらっしゃるのでしょうか。

《質問2》
第二に、そのような活動の利用要請が住民あるいは団体からあった
場合には、区立公園へも積極的に範囲を広げるお考えがあるのでし
ょうか。もちろん公園の規模が都立と区立ではぜんぜん違いますし
、管理事務所も区ではありません。お考えをお聞かせください。

《質問3》
第三に、東京都の管理する公園の場合、東京都と区が連携を図られ
ているように思いますが、これからもこのような連携を強化するお
考えはあるのか、お尋ねいたします。



答弁要旨

《答弁1》
 下村議員のご質問にお答えします。
 体験的学習と公園の活用についてのお尋ねです。
 まず、公園などを舞台とした活動に対しての考えです。
 現在、都立戸山公園では「戸山公園子どもの遊び場を考える会」
が週2回程度、区立若葉公園では「四谷冒険遊びの会」が月2回程
度、プレイパークは、「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとし
た、子どもが主役の遊び場です。地域の皆さんが団体を構成し、こ
の活動を続けています。
 区は、プレイパーク活動を、体験的学習の場とともに、子どもの
自主性を育てるための大切な活動ととらえています。そして、その
支援について、新宿区次世代育成支援計画に位置づけ、プレイリー
ダー謝礼の一部助成などに取り組んでいるところです。
 そのために、平成18年度は、区内全域におけるプレイパーク活
動の展開を目指し、団体相互が連携する「(仮称)新宿プレイーパ
ーク協議会」の立ち上げを支援してまいります。

 教育委員会からお答えいたします。
 初めに、公園を利用した様々な活動に関するお尋ねですが、青少
年に身近な地域での体験活動地域の教育力により提供することは、
単に、青少年の自主性や社会性を延ばすだけではなく、人と人との
触れ合いによる豊かな人間性を育成できると考えています。教育委
員会では、多様な主体の育成を目指して、例えば「戸山遊び場」と
の連携事業を実施したり、「プレーリーダー育成講座」等を団体と
の協働で開催しています。
 次に、区立公園での展開ですが、教育委員会では講師紹介などを
とおして区立公園での活動への支援も行っております。今後も地域
や実施主体のニーズに応じて、区長部局と連携を図っていきたいと
考えています。

《答弁2》
 次に、体験的学習の場として区民等から区立公園の利用を要請さ
れた場合についてのお尋ねです。
 区では、すでに若葉公園を始めいくつかの区立公園をこうした体
験的学習の一環としてのプレイパーク活動に提供しています。
 ご指摘のとおり、公園ごとに利用実態は異なることから、その特
性をふまえた上で、今後も地域住民が主催するプレイパーク活動で
の公園利用を促進して行きたいと考えています。

《答弁3》
 次に、体験的学習と公園の活用について、東京都と区の連携を強
化する考えはあるかとのお尋ねです。
 平成16年度から、区が「戸山公園子どもの遊び場を考える会」
の活動を後援することにより、東京都が都立公園でのプレイパーク
活動を許可するといった仕組みが整備されました。
 現在、都立戸山公園でのプレイパーク活動の支援のため、東京都
と区が情報交換を密にし、連携を図っております。
 今後も、地域の皆さんが活動を継続し、活動日等を拡充していく
ことを支援するため、東京都との連携を強化してまいりたいと考え
ております。