安全な街づくりについての一般質問
自民党新宿区議団の下村はるおです。
私は大久保・百人町地域の安心安全な街づくりに関して一般質問をいたします。
新宿区は平成十五年、「安心安全条例」を制定しました。この条例に基づき
現在十三地区から申請が出され、重点地区として安全パトロールを中心に活動が
行われています。
その記念すべき第一号に指定された大久保・百人町地域で、地域の安全活動にも
関わらず、安全に関する環境が大きく変化しております。
この地域はこれまで繁華街・商店街に隣接するものの、静かな住宅街として機能
してきた地域です。特徴は東西には職安通り、大久保通り、諏訪通りと大きな幹線道路が
あり、それぞれ商店街が形成されており、特に歩道上の商品の陳列、置き看板、
放置自転車など、歩道の不正使用が地域の課題となっております。
一方、南北方向には見通しの悪い狭隘な道路が数多く走っており、防犯とともに、
以下お話しするような増改築による住宅地への飲食店の進出が地域の大きな課題と
なっております。
具体的には、この数年明らかに建築基準法を無視した建ペイ率違反の事例が増えて
います。どのようなものか、いくつか事例を申し上げます。
このところのバブル精算の動きに合わせ、いくつかの不動産のオーナーが変わりました。
その殆どが既存建物をそのまま残し売却されたものです。またオーナーは変わらないものの、
新規に一階テナントとして入居したり、一階のテナントが変わった事例もあります。
いずれの場合も南北の狭隘な道路に面するこれまで住宅としてしか利用されてこなかった
建築物を購入あるいは賃借し、既存の建物を利用して店舗を始めるというものです。
敷地内の道路側へ、建物の横幅に合わせて、一階空地部分に柱を立て、壁を仕切り、
屋根を葺き、いつの間にか仮設ではなく明らかに建築物を増改築してしまうといった方法で
行われています。
増改築のための建築確認申請は新宿区にも民間機関にも提出されていません。
増改築工事を行うのは区役所が休みの土日に掛けて行われる場合がほとんどで、
休日の間隙をぬって、週末に一夜にして違法増改築が行われてしまうことが多くみられます。
たとえ増改築工事中に近隣の通報で発覚し区の指導を受けても、建築主は最終的には
区の指導を無視して自分たちの計画通りに増築を終えてしまうのです。
さらに出来上がると同時に即日飲食店の営業を始めてしまい、あとから苦情を受けた建築課
職員が現場に駆けつけても、営業権をタテにしてその営業を止めさせることが出来ません。
改めて増改築部分の撤去を命じても応じないのです。
消防署の消防設備の点検には応じるようですが、消防設備のみを見ると「特別な問題点が
ない」というのが消防署の見解のようです。
保健所も衛生設備などに不備がなければ、営業の許可を交付するようです。
大久保一丁目、百人町一丁目で私が調べた物件では次のような問題点があります。
第一に、あきらかにこの建ペイ率違反の増改築によって、ほとんどが飲食店の営業を
行っている点です。これらの増築は家族が利用する個人住宅の増改築と異なり、
飲食の客席を設けて不特定多数のお客を接待しています。
第二の問題は大久保通りや職安通りなどの道路幅のある表通りではなく、この狭隘な
南北の道路に面した場所で発生している点です。場所によっては2Mの道路幅さえ確保
できていない場合もあります。
建築基準法の定める目的の一つは防火、延焼防止です。
第三にこれらの増改築建築物は燃えやすい木造であり、建築物本体が耐火構造であって
もこのような違法改造によって明らかに延焼の可能性が高まる点です。放火の被害も
受けやすくなる構造となります。
さらに震災時など同時多発的な火災が考えられるところでは、建築基準法の定める
隣接建物との空地が避難経路として重要な役割を果たす点です。
建築確認は新築の際には厳重な審査が行われていると思いますが、増改築に関しては
残念ながら見過ごされている事例が多いように見受けられます。
新宿区でも違反建築の是正に向けて取り組んできたところです。平成十四年三月発行の
新宿区作成資料「都市計画のあゆみ 街づくり二〇〇一」によれば違反建築の件数は
平成十二年まで時系列で減少傾向にあり、是正された件数もそれにともない減少していると
報告されています。
平成十八年四月より東京都火災予防条例の改正により、増改築についても消防署への
届け出が義務付けられ、立入検査が行えることになりました。
飲食店のケースが多いので、保健所との連携も考えられます。営業許可を出す際に、
果たしてこのような違法建築を行った店舗に、縦割りで営業を認めてよいものでしょうか。
総合的に判断すべきと考えます。総合的に合格して初めて営業許可を保健所が与えるのが
本来の姿ではないでしょうか。
さらにこれらの営業者が適正に税金を支払っているのか、新宿区は直接関与できない部分
ではありますが、調査するべき点であると考えます。
これらの課題への対応で参考になるのは、多数の死者を出した「歌舞伎町雑居ビル火災」
のときに新宿区がとった対応です。いわゆる縦割りを排した総合的対応です。
《質 問》
さて質問に入りたいと思います。
第一に、このような大久保百人町地域の違法増改築を新宿区は把握しておられるのか。
お伺いいたします。
第二に、これらの違法増改築に対して今後どのような対策をとられるのか。特に防災上の
観点から、緊急措置が必要なのではないかと思われます。いかがでしょうか。
第三に、建築基準法に則って対策を進めることが基本ですが、先ほど申しあげましたように
総合的にこの問題を取り上げることが大切です。この点について新宿区の考え方をお伺い
します。
第四に、これらの違反建築を未然に防ぐには違法建築パトロール隊を結成し、問題の多い
地域を定期的に巡回、調査、指導をおこなうことが効果的かと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、中山区長にお伺いいたします。安心安全に不安を抱くこれらの地域住民に
新宿区としてメッセージを発信することが大切であると考えます。いかがでしょうか。
既存不適格物件の放置は地域のモラル低下を生む可能性も否定出来ません。
コミュニティーの核である住民の「住み続けたい、コミュニティーを維持したい」という
気持ちに応えることがなにより大切なことであります。
このまま現状を放置すれば、まだまだこのような違法増改築が行われる可能性が高い
と思われます。いわゆる不作為の罪にならぬように区としてしっかりと対策をお願いいたし
ます。
このような建築が事実として増え、既得権となっていくと将来のこの地区の街づくりに
大きな障害となると思われます。
新宿区は、建築基準法に従って建築している既存の建築主との公平性の確保からも、
住民の安心安全を確保するためにも、行政代執行を視野に入れた指導強化を検討される
ことを一日も早く表明されることを願います。しっかりとしたメッセージを住民に発してください。
以上で私の一般質問は終わります。ご静聴ありがとうございます。
《答弁》
下村議員のご質問にお答えします。
まず、一点目の大久保・百人町地域の違法な増改築を区は把握しているかとのお尋ね
です。
この地域で違法な増改築が存在することは承知しております。大久保一丁目・二丁目及び
百人町一丁目・二丁目地域において、平成16年度は6件、平成17年度には9件の違反建築物を
摘発し、是正指導を行ってまいりました。
次に、二点目の違法増築に対する今後の対策についてです。
この地域における違反建築物への対策については、区民等から通報を待つだけでなく、
区の職員による違反パトロールを強化し、早期の発見と対応に努めてまいります。
また、三点目の総合的にこの問題を取り上げることについて区の考えです。
違反建築物への対応については、ご指摘のように総合的な対策が重要であると認識して
おります。現在、違反建築物の初期対応として「相互通報体制の確立や消防査察の強化」
等について消防署と協議を進めているところです。
今後は、特に飲食店の営業許可を所管する保健所との連携を図り、連絡体制を密にする
など、総合的な対策を検討してまいります。
四点目の違法建築パトロール体結成による、巡回・調査及び指導についてです。
建築物の違反を初期の段階で防止するために、巡回・調査などを行う「合同査察体制」を
早急に立ち上げることを、関係機関と検討してまいります。
最後に、区としましては、地域の皆様と互いに連携・協働し、違反建築物の総合的な対策を
進め、「安全なまちづくり」に取り組んでまいります。
《結び》
自席より発言いたします。ただいまは丁寧なご答弁ありがとうございます。
新宿区のメッセージをしっかりと受け止めました。地域の方々とともにこの問題に対応して
いただきたいと思います。この地域でも地区協議会が開催されています。
新宿区内の他地域などでも同じく防災の観点から、私道の利用を巡って同様の問題が
起こっています。私道の問題は民間と民間の紛争という点もあり次の機会に致しますが、
安全に関する区民の意識は他地域でも高まっています。
以上で質問を終わります。