自民党新宿区議会議員団の下村はるおです。町中に溢れるスプレー落書き
について、安心安全な街づくりの観点から質問いたします。どうぞ誠意ある
ご答弁をお願いいたします。
 時々山手線に乗り車窓から沿線の風景を見ている時がありますが、そんな時、
線路沿いの擁壁や民家、ビルの壁やシャッターにわけのわからない文字が
スプレーで書かれているのを目にします。他区ですが、目黒から原宿までの間に
大変多いように感じます。小田急線でも下北沢駅付近で落書きを多く見かけます。

 最近の落書きは公衆トイレにあった古典的な落書きとは違います。「右を見ろ、
左を見ろ、上を見ろ。」そして天井を見ると、「ご苦労さん。」と書かれた、読める
落書きではなく、記号ともイラストとも見える、しかしまったく読めない、スプレーによる
「タグ」と言われるものがほとんどです。

 私の住まいの近くを見てみると同様にスプレー落書きが大変多いことに気が
付きます。線路沿いや坂道の擁壁や鉄道などのガード、民家の壁やシャッターばかり
でなく、電柱、路上の変電設備、新宿区の消火器ボックス、町会掲示板、さらには
公衆トイレの壁にも見られます。スプレーばかりでなく、意味のわからない「BNE」
などのアルファベット文字や記号のシールもあります。
 民家のシャッターなどは日中開けていることが多く目立たないので、つい見逃して
します。「費用がかかるのでいちいち消さない、たとえ消してもまた書かれてしまうよ、
なぜわが家に書かれてしまったのだろうと考えこんでしまう。」などの声を聞きます。

 NHKの番組「ご近所の底力」によってスプレー落書きの対策を行っている下北沢
商店街の例などが有名ですが、新宿区でもこの問題に取り組んでいます。
 鉄道のガードで取り組んだいくつかの例をあげてみますと次のようです。
 第一に、西武線の西武新宿駅から高田馬場駅までの補助七二号線沿いの
道路擁壁では何度か落書き消しに取り組んだようですが、消すだけではダメで落書きの
上から路上喫煙禁止や企業、大学のポスターを貼って再度描かれないようにしています。
 ちょっと古くなりますが、西口大ガードには「ミルック」と呼ばれる区民のためのギャラリー
が設置され、通行人の目を楽しませています。大ガードのこの箇所だけは落書きが
ありません。ただ反対側やガード全体を見ると残念ながらスプレー落書きがたくさん
あることに気がつきます。
 第二に、東京都の治安対策本部と連携した取り組みがあります。平成十八年には
戸山小学校近くの道路擁壁にこども達の可愛らしい壁画が描かれました。東京都では
東京都塗装工業協同組合などの協力を得て同じ年度に渋谷区、杉並区でも
取り組んでいます。
 第三に、民間との協働としての取り組みもあります。落書き対策という意味ばかり
ではなく、地域活性化の観点から新大久保駅、大久保駅では商店街、町会の皆さんに
よって壁画が描かれ、落書きを防止しています。大久保駅南口の擁壁には地元の
専門学校による魚の壁画もあります。
 さらに高田馬場駅のガード下にあったアトムの壁画は、今はなくなってしまいましたが、
これもその例と言えます。反対側の壁には現在も落書きが残っています。いずれの例でも
書かれている壁画の部分にはその上から落書きをされるということはありません。
 これらの新宿区の取り組みを私は評価をしたいと思いますが、残念ながら職安通り
などの山手線、中央・総武線、西武新宿線の線路脇やガードについてはまだまだ見苦しい
状況が続いています。むしろこれらの地域では、ここ数年増えているのではないかと疑う
ほどです。
 新宿区や区民組織だけでは取り組めませんので、管理者であるJRや西武鉄道の
理解・協力が前提ですが、今申し上げたようなガードと線路の擁壁では対策の強化が
早急に必要です。

 そこでこれらを整理し、いくつかの提案をしたいと思います。
 第一は、落書き対策の基本は古典的ですがすぐに「消すこと」です。それも一斉に、
ある地域を決めて消すことと言われています。最近よい消去の材料と方法が開発されて
いるようです。費用はいくつかの業者に聞いてみましたが、材料それ自体はそれほど高く
ないようです。
 そこで、これらの材料を新宿区が準備、区民に提供してはどうでしょうか。一斉にできない
という意味では効果は半減するかもしれませんが、区民自らが落書き消しを行うよう
決断してもらう一つの方法であると思います。
 東京都では、「落書き防止マニュアル」の小冊子を発行してその対策に努めています。
東京都のノウハウを活用することも考えられます。ボランティアによる協力も大きなポイントです。
 第二は先ほどの例のように落書き箇所に壁画を描いてしまうことです。ガードなどでは
その効果も持続します。
 人手や費用、技術の点で課題も多いと考えますが、塗装組合やボランティアの協力を得て、
いくつかの拠点を選んで、これに取り組むことは大いに意味があると考えます。
 第三は、費用や人手の点でハードルが低い、新宿区の様々な啓発パネルや大型ポスター
を貼ることであると思います。ポスターをスプレー落書きの上から貼ってしまうという方法です。
 先ほどの電柱や消火器ボックスなどの小さな箇所にはポスターではなく、啓発用の小さな
シールを利用すれば防止キャンペーンにもなります。
 第四は、再犯が繰り返される地域ではゴミの不法投棄の例のように防犯カメラの設置が
考えられます。実際にその効果も狙って取り付けた新宿駅東口の商店会の例もあります。
 第五は、落書き防止条例の制定が考えられます。残念なことですが、ここにいたっては
「落書き防止条例」の制定を視野に入れるべきと思います。これまで法的には刑法の
器物破損罪で三年以下の懲役または三十万円以下の罰金というものでしたが、落書き犯罪は
ごく一部の人間が行っており、一種の縄張り争いのような面もあり再犯の可能性が高いと
考えられております。
 景観を乱す犯罪として、また軽微であろうとも更なる重大な事件を誘発する犯罪として
取り締るべきであると考えます。実際落書き防止条例を制定している奈良県、鎌倉市など
いくつかの自治体があると聞いております。貴重な文化財を守る為に制定されたもので、
新宿区とは目的が異なりますが、都市である千葉市の例もあります。練馬区のように
ポイ捨て条例と一緒に制定している区もあります。検討してみてはいかがでしょうか。
《質問》
 そこで区長に質問いたします。
 第一に、新宿区としてこれらの現状をどのようにお考えなのでしょうか。特に安心安全な
街づくりを中山区長を先頭にこれまで重点施策として取り組んで来られたわけですが、
景観の問題ばかりでなくこれらの観点からお考えをお聞かせ下さい。
 第二に今後どのような対策をとっていくのか、お伺いいたします。
先ほど提案についてのお考えも含めてお聞かせください。落書きを消そうという区民には
消去材料を準備したり、協働で消す作業を住民やボランティアと企画したり、「スプレー落書き
防止キャンペーン」を視野に入れて積極的にこれを行うお考えはないでしょうか。
 第三に、落書き防止条例の制定について、新宿区のお考えをお聞かせください。

以上、三点をお伺いいたします。

以上で私の質問を終わります。ご清聴有難うございます。


答弁要旨

 下村議員のご質問にお答えします。


《答弁1》
はじめに、新宿区における落書きの現状と安全対策との関連についてのお尋ねです。
落書きは、公衆トイレや消火器ボックスなどのほか、鉄道のガード下や道路の擁壁、
更には、商店街のシャッターなど民有施設にまで及んでいます。
区ではこれまで、公共施設に落書きされた場合には、
こまめに消去するなどの措置を講じてきました。またご評価いただいているとおり、
大久保駅や新大久保駅のガード下に、地元の方々と協力して壁画を描いたり、
線路脇の擁壁に鉄道業者と協力して落書き防止パネルを設置するなど、
落書きしにくい対策も講じてきました。しかしながら、まだまだ落書きされている現状も多くあります。
落書きは個人財産に大きな損害を与えるばかりでなく、街の美観やイメージを損ないます。
落書きしやすい状況を生みだし、これを放置しておくことは、
街が荒廃する端緒になるとも言われています。ご指摘のとおり、
軽微な犯罪が更なる重大な犯罪を誘発することにもつながりかねません。
従って、落書きを防止し、良好な景観を維持することは、
安全で安心な街づくりの面からも重要であると考えています。

《答弁2》
 次に、落書き対策についてです。
 ご提案にもありましたように、落書きはすぐに消すことと、
一定の地域で一斉に消すことが効果的あり、地域の方々との協働による
取り組みが重要であると考えています。そのため区では、落書き消去のための材木の提供や、
落書き防止に向けたキャンペーンの実施などについて、検討していきます。
 また、路上喫煙禁止のポスターやシールを貼付するなど、落書きしにくくする対策についても、
それぞれの施設の管理者と協働しながら、取り組んでいきます。

《答弁3》
 次に、落書き防止条例の制定についてのお尋ねです。
 落書きは刑法上の器物損壊罪に当たり、懲役や罰金などの罰則が科されます。
さらに常習性を伴った場合には暴力行為法違反との判例もあります。
 落書き防止条例制定のご提案についてのは、お話のように条例化している自治体もありますので、
その考え方や運営状況などについて調査・検証していきます。
一方、「落書き犯罪である」との認識のもと、現行法での対策を強化することが重要であると考えます。
 このため区では、警察へ取締りの強化などを要請するとともに、
地域の方々との協働によって、落書きをなくし、安全で安心な街づくりを進めていきます。