平成19年6月13日

自民党新宿区議団の下村治生です。エリアマネージメントの観点から、広告景観と
屋外広告物規制について区長に一般質問いたします。どうぞ誠意あるご答弁をお願いいたします。

 屋外広告物の問題に入る前に、若干景観をめぐるこれまでの議論について整理しておきたいと
思います。
 国の景観法(景観緑3法)が平成16年6月に制定されました。景観行政についてはこれまで
さまざまな議論が行われてきましたが、その制定の流れを地方分権という観点から評価する意見が
多くありました。すなわち従来の考え方は建築基準法や都市計画法などの法体系で全国一律、
最低限の基準を定めるといものでしたが、景観法の制定は各地域の特性を発揮できるような新しい
考え方へ移行するという、大きな時代の流れを反映していると考えられます。
 東京都でも平成18年9月に、根拠法となる国の景観法の制定を受けて、建築物の色彩、デザイン
などを規制する景観計画の策定や大規模建築物の高さや壁面の形状などを規制する内容も加わった
景観条例の全面改正が行われました。
 新宿区では平成3年に景観条例の制定を行いましたが、その後都市マスタープランの策定に向けて
本年3月には景観まちづくり審議会の答申が出たばかりです。
 さてこのような景観=とりわけ都市景観の議論の中では「屋外広告物の取り扱い」について、
これまで議論はほとんどありませんでした。積極的に議論がなかったというより、公共空間の「公益」
を確保することに重点が置かれ、むしろこれまで屋外広告物を制限する側に行政や法のスタンスが
あったと考えられます。都でもこれまでの屋外広告物規制の基本的な考え方として、以上のような
考え方で運用を行ってきたわけです。
 例えばたて看板、据え置き看板などは道路=公共空間を占拠する障害物として扱われ、排除の
対象であってもこれを有効に活用する視点はなかったと言えます。
 しかしこの数年、東京都でも、都バスの車体広告の例のように屋外広告物に対しての従来の考え方
から方向を変えたように思います。平成17年1月に「東京都広告物審議会」の答申が発表されました。
 答申の6ページに「他の施策と連携した規制・誘導策を展開」の項目の中、近年、公共的な事業への
民間活力導入が活発となっており、こうした状況を考慮し、公共案内板、避難標識、」…などの公共施設・
物件に民間の広告を掲出させることにより、維持管理経費の捻出に寄与するなど、広告収入の効率的な
活用を図っていくことが重要である、と述べております。

 さて一方、エリアマネージメントの観点から平成18年6月1日、日経新聞の朝刊一面に大変興味深い
記事が掲載されました。タイトルは「街並み整備 住民組合で、公共施設を維持・管理、自治体並み権限」
です。公共空間の管理を住民や地域の組織に任せようという考え方が国土交通省で検討されている
ようです。いわゆるエリアマネージメントの取り組みです。
 その中でこれらの住民組織がどのように維持管理費用を確保するのかという課題が出てくるわけです。
ニューヨークのBIDのように固定資産税とともに一定割合をその費用として徴収できるようなシステムが
ないわが国ではひとつの手段として公共空間を利用した収益事業が考えられます。
 公共空間を利用した事業、いわゆる不動産、土地・建物の有効利用として行われてきた駐車場利用、
空間や建物賃貸事業などさまざまな事業が想定されますが、屋外広告物を収入源として考えると大変興味
深いものがあります。
 例えばニューヨークのBIDの一例であります「ブライアントパーク」では公園内に景観に配慮した巨大な
広告塔を設置して、収入源としています。横道に逸れますが、ここではイベント広場の貸し出しやキオスクや
レストランの経営など別途収益事業をおこなっています。
 そこでエリアマネージメントの収益源として屋外広告物を活用するに際しては、以下の5つの課題が
考えられます。
第1に上位組織(国や東京都)との考え方の整合性を図らなければならない。
第2にゾーニング範囲の問題がありますが、地域全体の景観とどう調和させるか
第3にこれまで排除の対象となってきた他の屋外広告物との整合性をどうとるか
第4に最後にもっとも重要な事項である排除対象ではなくむしろ積極的に導入する「根拠」を明確にする
必要性があります。
 すなわち屋外広告から得た収入を公共空間の維持管理に使用するといったルールをきちんと定める
ことが重要です。単に街づくりの収入源を確保するという観点からだけでなく、ルールの確立が大切です。
合法性の根拠は明確な社会還元です。さらに公益の観点から結果を公表する必要があります。
第5に新規申請に対し広告物の種類と社会還元活動の内容とのバランスを審議したりこれらのルールを
監督したりする組織
の設置も必要となります。

 これまでも新宿区では弾力的な運用に取り組んできました。
商店街路灯に設置された街頭旗についての取り組みやモア4番街での広告物の取り組みなどです。
これらの取り組みは東京都の屋外広告物規制条例に沿いつつも、東京都との粘り強い話し合いによって
より柔軟な運用を行ってきた点は十分評価できます。さらにエリアマネージメントの観点からこれを発展
させることが必要であると考えます。

《質 問》
そこで以下2点について質問たします。
第一点目は広告景観についての新宿区の考え方をお聞きかせ頂きたいと思います。
第二点目は、現在東京都の屋外広告物規制条例に従って新宿区は屋外広告物の運用を行っていますが、
地域(エリアマネジメント組織)が、より社会還元活動しやすくするためのルールをつくり、そのルールに則り、
イベント告知広告や街路灯広告など道路活用における一層の規制緩和が必要と考えますがいかがでしょうか。
以上で私の一般質問を終わります。


《答 弁》
 下村議員のご質問にお答えします。
 初めに、「広告景観」の区の考え方についてのお尋ねです。
 良好な景観の保全や創出は、魅力的なまちづくりを推進していく上で大変重要なことです。
こうした考えに基づき区は平成3年に、23区で最も早く景観基本計画を策定し、景観行政に取り組んで
まいりました。
その中では、屋内広告物が景観に及ぼす影響は、大きいものとの認識はありましたが、積極的に評価する
スタンスではありませんでした。しかし、世界有数の繁華街である「歌舞伎町」や、伝統と現代が触れ合う
粋なまち「神楽坂」など、区内には、個性のある地域が多く存在景観しています。これらの中には、
野外広告物を景観として積極的に評価することができる地域もあると考えています。
 来年3月には、景観まちづくり審議会から、今後の景観施策のあり方についての答申を受けました。
この答申を踏まえ、現行の景観基本計画を、景観法に基づく計画へと見直しを行います。この中で、議員が
ご指摘の「広告景観」の考え方も取りまとめ、計画に反映させて参ります。

 次に、街路灯広告などの道路活用における規制緩和についてです。
 地域の方々が、道路を活用して社会還元活動をされることは、意義のあるものと認識しています。しかし、
東京都屋外広告条例では道路上の商業広告は原則禁止されており、街路灯などに表示できる広告物は、
近隣店舗等への案内誘導や公益を目的とするものに限られています。
 このため、区ではこれまで、道路環境の改善とまちづくりの活性化を目的に、モア4番街でのオープンカフェ
やシネシティ広場でのイベント広告に加え、新宿駅周辺の商店街灯フラッグにおいては、公益的な表示に
あわせたスポンサー広告を認めるなど、個別に規制緩和を実施してきました。
 今後も、まちの活性化やエリアマネージメントによる住民主導のまちづくりへの貢献など、意義を勘案のうえ、
現在の規制をより緩和する方向で、地域のルールを定めていきます。